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昇温脱離分析装置TDS1200Ⅱ - ESCO | 電子科学株式会社

昇温脱離分析装置TDS1200Ⅱ

昇温脱離分析装置TDS1200Ⅱの特徴

昇温脱離分析装置TDS1200Ⅱは、試料を超高真空環境(10-7Pa以下)で赤外線によりプログラム昇温した際に脱離する分子を四重極質量分析計(QMS) でリアルタイム観測する分析装置です。

大気圧環境(105Pa)で試料を加熱する熱分析装置に比べ低バックグラウンド環境で観測できます。大気圧環境では低バックグラウンド化が難しい大気成分 (水、水素、酸素、窒素、二酸化炭素など)においても高感度に観測することができます。

また、試料のみが加熱される構造となっており、高温域においてもバックグラウンドが上昇せず、脱離分子の高感度観測が可能です。

 

試料から脱離した分子について化学種の同定や定量を行うことができます。脱離した分子の吸着・結合状態や拡散過程などの情報も得ることができます。

 

薄膜サンプルや薄板サンプルなどの測定に最適です。新しいTDS1200Ⅱは、従来のTDS1200のシステムをリニューアルし、インターフェースにタッチパネル を採用しました。CEマーク使用基準を満たしています。

 

参考文献

●日本表面真空学会編; 図説 表面分析ハンドブック.朝倉書店, 2021, V章 その他. 25節 脱離分析法. 1項 昇温脱離法(小倉正平) : 464-469.

●平下紀夫; 味岡恒夫; 日永康. 新しい昇温脱離ガス分析装置の開発と VLSI 材料及びプロセス評価への応用. 真空, 1991, 34.11: 813-819.

●平下紀夫; 内山泰三. 昇温脱離ガス分析法による半導体集積回路材料からの放出ガスの定量分析.分析化学, 1994, 43.10: 757-764.

 

高周波加熱TDS

ロードロックチャンバー装備

ロードロックチャンバーは、測定の高効率化(高スループット)や高感度化のために必須です。弊社のロードロックチャンバーとサンプル搬送機構は、サンプルのみを素早く超高真空の分析チャンバーへ導入することができます。

ロードロックチャンバーが無ければ試料交換の度に分析チャンバーを大気開放する必要があります。一度大気開放すると分析チャンバー内に多量の大気成分(特に水分)が吸着し、十分に排気されるまで長い時間を要します。

Loadlock

赤外線加熱方式

昇温脱離分析では、サンプルを加熱する際に分析チャンバーや分析チャンバー内の部品が加熱されないことが重要です。チャンバーが加熱される構造のTDSでは、試料からの脱離ガスとチャンバーからの脱離ガスを判別することが困難になります。

TDS1200Ⅱは、石英ロッドを介して導入された赤外線で試料を直接加熱するため、高温領域でもバックグラウンドレベルの上昇が最小限に抑えられ、高感度な測定が可能です。

 

赤外線加熱方式

四重極質量分析計(QMS)の配置

脱離ガスを高感度に検出するために、QMSイオン化室が試料の直上に配置されています。直上に配置することにより、サンプルより脱離したガスがダイレクトにQMSイオン化室に到達することができるので、蒸着性の高い金属や分子量の大きい有機分子も高感度に検出できます。

 

QMSイオン化室の配置

脱離ガスの定量

データ処理プログラムによって脱離ガスの定量が可能です。脱離ガスの定量を行うには定期的に質量分析計の感度を校正する必要があります。

標準リークを用いた感度校正は、ガスの種類と同じ数の高価な標準リークを用意する必要があり、校正作業には時間が掛かります。また、有毒ガスの標準リークを用いる場合、安全衛生管理も厳しくなります。

現行の定量プログラムは、標準リークによる校正法に比べ迅速、簡便、かつ安全に脱離ガスの定量を行うことができます。弊社製のNISTトレーサブル水素標準試料を定期的に測定していただくだけで精度の高い結果が得られます。弊社が開発した感度補正法は、水素以外のガスにおいても感度を補正することができ、産総研(AIST)の国家標準に基づいた標準リークにより校正した定量結果とも良く一致することが確認されています。

ArCa20181009

 

 

参考文献
●平下紀夫; 浦野真理; 吉田肇. 分析分野におけるガス放出測定. Journal of the Vacuum Society of Japan, 2014, 57.6: 214-218.

技術解説

 

  • 昇温脱離法
  • 定量分析

昇温脱離法

昇温脱離法の解析に使用される脱離モデルや活性化エネルギの求め方についての参考資料です。

 

※PDFファイルが開きます。

表題 目次 (pdf/159KB)
第1章 はじめに、記号表 (pdf/225KB)
第2章 昇温脱離分析における脱離速度と分圧の関係 (pdf/288KB)
第3章 表面反応における脱離速度の算出 (pdf/635KB)
第4章 脱離反応の活性化エネルギの算出法 (pdf/1105KB)
第5章 薄膜からの脱離速度の算出 (pdf/1582KB)
第6章 昇温脱離信号のシミュレーション (pdf/1219KB)
参考文献 参考文献 (pdf/174KB)

昇温脱離分析装置における定量

この資料は平下・内山の分析化学での報告 「N.Hirashita and T.Uchiyama, BUNSEKI KAGAKU, 43 , 757 (1994)」に基づいています。

 

昇温脱離分析装置で測定した昇温脱離スペクトルから、脱離ガスの定量を行うことができます。

 

測定チャンバーの排気速度が脱離ガスに起因する測定チャンバーの圧力変化に比べて十分に大きいとき、脱離ガスの分圧の変化は単位時間あたりの脱離量(脱離速度)に比例します。

 

質量分析計ではイオン電流と分圧は比例するので、結局イオン電流と脱離速度が比例することとなり、イオン電流を積分した面積強度から全脱離量を計算することができます。

既知量のH+を注入したSi試料を用いて面積強度と脱離量の比例係数を求めておけば、様々な試料についてm/z2の面積強度から水素の脱離量を決定することができます。

 

また水素以外の分子については、水素と目的分子のイオン化難易度、フラグメンテーションファクター、透過率などのパラメーターから目的分子についての比例係数を計算することができます。 この比例係数を使えば水素以外の分子の定量も可能です。

 

詳しくはこちら

オプション

粉体試料用ガスパージ

ステージ交換機構

微細な粉体試料を飛散させずにロードロックチャンバーをガスパージさせる機構です。

 

目的 ・粉体試料が存在するロードロックチャンバーをパージすると試料が飛散してしまいます。
・パージラインにスイッチタイプのバルブを採用しています。
・簡単に操作ができ、試料の飛散がなくなります。
構成 スローリークバルブASSY(SUS配管・ニードルバルブほか)
オプション対象 ・TDS1200Ⅱ
・TDS1200
・EMD-WA1000S/W
・EMD-WA1000S

 

トランスファーベッセル

グローブボックスなどの嫌気性環境下で調製した試料を、大気に触れさせずにロードロックチャンバーへ導入することが可能になります。

 

仕様 外気交換速度=1.5MPa→1.5MPa(48h後)
構成 ・トランスファーベッセル(圧力ゲージ付も可)
・トランスファーベッセル装着用ロードロックチャンバー
オプション対象 ・TDS1200Ⅱ
・TDS1200
・EMD-WA1000S/W
・EMD-WA1000S
その他 部品単体の販売も行っております。
TDSに取り付ける場合、ロードロックの改造が必要となります。

 

試料ステージ交換機構

メインチャンバーを大気開放することなく試料ステージの交換が行えます。

加熱条件に合わせて簡単に透明ステージとSiCステージを交換することができます。

試料の昇華により試料ステージが汚れてしまった場合にもすぐに交換でき安心です。

冷却水循環装置

赤外線集光ミラーの冷却に冷却水の循環が必要です。

装置設置環境に冷却水供給設備が無い場合は、冷却水循環装置の併用がお勧めです。
単機能の冷却水循環装置から、各種オプション機能搭載型まで選択できます。
漏水センサーと組み合わせ、漏水検知時は冷却水循環装置OFF、赤外線加熱OFF等にも対応できます。

QMSマニホールド

メインチャンバーとターボ分子ポンプの間にQMS分析管の取り付け空間を設けます。
分析管への金属蒸着などを軽減、QMSの感度劣化を抑制できます。

また、液体窒素トラップを設置することで鋼中水素量をより高精度に決定することができます。

  • QMSマニホールド

2kW加熱源

通常1200℃までの加熱を1400℃まで上げられます。

  • 2KW加熱源
  • 2KW加熱源

消耗品

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