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光励起脱離法の原理 - ESCO | 電子科学株式会社

光励起脱離法の原理

光励起脱離法の原理

光励起脱離は3つの過程(①光励起、②結合切断、③脱離)を経て起こります。

 

① 光励起

σ軌道(結合性軌道)にある電子は、σ軌道-σ*軌道のエネルギー差に相当する波長の光を吸収すると、σ*軌道(反結合性軌道)に励起されます。
光束密度の高い真空紫外線を用いることで、光路長の短い薄膜試料でも、効率よく試料を励起します。

② 結合切断

σ軌道とσ*軌道に一つずつ電子が入った場合、その結合エネルギーは両軌道準位を足したものになります。結合エネルギーが負であるとき、σ結合に開裂が起こります。

③ 脱離

σ結合の開裂によって、様々なフラグメントが生成します。一部の分子は、表面で再結合が起こります。生成したフラグメントが試料中に束縛されていない場合には、脱離が起こります。
つぎに、これをポテンシャル曲線(図1)にて説明します。
 

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図1 ポテンシャル曲線

 

2個の電子が結合性軌道にある状態(図1 緑のポテンシャル曲線)では、各振動準位にボルツマン分布しています。
この結合に電子遷移を起こす波長の真空紫外光が当たると、結合性軌道と反結合性軌道に1個ずつ電子がある状態(図1 赤のポテンシャル曲線)になります。
ゼロ以上のポテンシャルエネルギーにある分子は、結合が開裂を起こします。

 

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 図2 真空紫外による切断

 

一方、多重結合やフラグメントが束縛されている場合、結合が完全に切断できなかったり、切断されても脱離できなかったりします。

 

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図3 切断されるが脱離不成立の場合①

 

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図4 切断されるが脱離不成立の場合②

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