昇温脱離分析とは
一定速度で固体表面の温度を上昇させながら、脱離してくる化学種による圧力変化や、脱離化学種の量の変化を測定することにより、固体表面の吸着化学種を同定したり、吸着量や吸着状態、表面からの脱離過程などについての情報を得たりする方法。
昇温速度を制御しつつ測定するのでTPD(temperature programed desorption)ともいう。
担持金属触媒のような固体粉末試料の表面吸着状態の研究にも用いられるが、単結晶表面における吸着状態の有力な研究方法である。
脱離化学種の同定や脱離量の測定には4極子質量分析器が用いられることが多い。
温度に対して脱離分子種の序列が得られ、これを昇温脱離スペクトル(thermal desorption spectrum)という。
昇温速度は102~103K/sの瞬間脱離(flash desorption)から一般的な10~10-2K/sまでのひろい範囲にわたる。
昇温脱離スペクトルの形状や昇温速度を変えたときのスペクトルの形状変化の解析によって、吸着状態に関して多くの知見を得ることができる。
※株式会社岩波書店 理化学辞典 第5版 643ページ799項 昇温脱離法より引用。
尚、掲載につきまして2000年7月に掲載許可を頂きました。有難う御座います。